京都散歩〜大原 三千院

京都観光に関西以外の地域から行く場合は時間の制約もある事から、大原や高雄は行ってはみたいが割愛というパターンも多いようです。確かに京都は名所旧跡の訪れるべき場所が広く散らばっているため移動時間も考慮すると厳しい選択をせざるを得ないかもしれません。

京都も何回目か、という方には是非ともお勧めしたいのが大原観光です。そのような方をお連れするとたいていはどのエリアよりも気に入ったと言う感想とともに満足気の表情を見る事が出来ます。

アクセスは、京都駅からバス(京都バス17系統)で1時間ちょっとの乗車で直接行くか、地下鉄烏丸線の終点 国際会館駅からバス(京都バス19系統)で30分ほどの乗車で行くかのどちらかです。後者の方がバス乗車時間が短く、トータルでも早いです。

大原バス停で下車して道路を横断すると大原の里ののどかな景色が広がります。時季に当たれば名産の赤紫蘇が畑にたくさん植わっているのが見られるでしょう。この辺りが柴漬けの発祥ですが、この赤紫蘇が有ったからこそ生まれたと言えます。

大原といえば大原女(おはらめ)でも有名です。絣の着物に手拭いを被って薪などを売る女性の事ですが、昔は大原が薪の産地であったところから発生した風習です。今では実際に売り歩くことは無いにしても一つの文化として大切に受け継がれているようです。時代祭などでもこの衣装の参加者が練り歩く姿が見られます。

清らかな流れの呂川(ろれつがまわらない、の語源の川)沿いに登り坂を10分ほど歩くと左手に三千院への石段が見えてきます。ここまで来れば三千院はもうすぐです。土産店がある砂利道に、重厚な石垣で組まれた御殿門と呼ばれる門があり、こちらが三千院の入り口となります。十数段の石段を登り門を入った左手に拝観受付があります。

この石段を登ると三千院はもうすぐ。
穴太衆によって積まれたと伝わる石垣が、門跡寺院の風格を醸し出す。

受付を済ますと建物内に入ります。靴を脱いでビニール袋に入れて持って行きます。出口が別の場所になるからですが、一巡するように回るので後で戻ってゆっくり見るといったことはできませんので、それぞれじっくりと見て廻りたいです。

三千院は伝教大師 最澄上人が比叡山を開いた時に建てたお堂が発祥となります。それ以来天台宗のお寺として長い間、法灯を守ってきました。幾度かの移転も繰り返しつつ寺号もその都度変わり、平安時代からは門跡寺院としての歴史が始まります。大原のこの地に移ってきたのは明治以降と比較的最近の事です。

室内は撮影禁止なのでここではご紹介できませんが、門跡寺院らしく優美な御所風の建築をじっくり見学いただきたいです。入り口に近い方から客殿、宸殿と続き、ご本尊の薬師如来をお祀りする仏間の正面まで来ると手に持っている靴を履いて外に出ます。たいていの方はここで外を見て、鮮烈な一面の苔の緑の鮮やかさに驚き感嘆するでしょう。

有清園と名付けられた池泉回遊式庭園の苔の庭を境内の半分くらい進むと一際古いお堂があり、その中には高貴な表情をされた阿弥陀如来坐像が安置されています。このお堂は往生極楽院と言い、約1000年ほど前に恵心僧都(えしんそうず)源信上人が建立したお堂です。元々はここにあったお寺であって、三千院とは別でしたが、三千院がここに移転して来て一体となったということです。

そしてお祀りされている阿弥陀如来坐像は脇侍の観世音菩薩と勢至菩薩と共に阿弥陀三尊として安置されています。この脇侍の2菩薩の座り方に注目いただきたいです。非常に珍しい正座のような状態から少し腰を浮かした「大和座り」と言う姿勢で居られます。衆生の民を救いに行くその瞬間を表現しています。

小さめのお堂に大きい阿弥陀三尊を安置する工夫として、お堂の天井部分を船の底をひっくり返したような形状とすることによって大きい阿弥陀像の更に大きい光背をも収めることができています。もし行かれた際には阿弥陀三尊の上方の天井部分にご注目頂きたいです。この船底天井と共に極彩色で描かれていた天井絵が僅かに残っているのが見えます。

大原と言えば大原問答が有名ですが、この話題はお隣の勝林院にて触れるように致します。他には、ここ大原が発祥の声明(しょうみょう)があります。声明は、お経ではないのでしょうが僧侶が法事で読み上げるどことなく民謡のような節回しの仏教音楽です。ゆっくりとしたテンポで、ゆらりゆらりと木の葉が落ちていくような、そんな節回しです。

境内の奥に行くと紫陽花(アジサイ)苑があり初夏の梅雨時は青い紫陽花を中心に見事です。

かえり

帰りの順路ではまた苔の庭に降りてきて、庭園の一番奥から苔庭全体と往生極楽院を一望することができます。ここを去ってしまう前に最後にもう一度この景色の印象を留めておきたいです。

この庭園から一段下がったところに御朱印所があり、お守りや関連商品も売っています。そしてそのままいくと入場した時にくぐった御殿門に出て三千院を後にすることとなります。

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