京都観光あれこれ 《紅葉の名所 真如堂》

真如堂とは

真如堂は平安時代の984年に比叡山の高僧、戒算上人(かいざんしょうにん)によって開かれた天台宗のお寺です。
「鈴聲山(れいしょうざん)真正極楽寺」という寺名が正式名称で、「真如堂」という名称は通称であり、こちらの本堂の名前から来ています。

真正極楽寺(しんしょうごくらくじ)という寺名について、極楽寺という寺は数多くありますが、本当の極楽寺と言えるのはここだと言う意味を込めた寺名です。こちらも他の京都のお寺さん同様に、応仁の乱の後はひどく荒廃し各地を転々としたようで、現在の地に落ち着いたのは江戸時代に入った1693年の事です。

現在では、真如堂は紅葉の名所として知られていますが、紅葉だけでなく建築や庭などいろいろと見どころの多いお寺です。

真如堂へ

真如堂は岡崎エリアの少し北、哲学の道エリアの西側と言う、ちょっと口頭では説明が難しいエリアに位置します。アクセスとしては、京阪電車の神宮丸太町駅からの徒歩で東山方向の東に向かい、聖護院門跡、金戒光明寺、真如堂を参拝するルート、もしくは地下鉄東西線の東山駅からの徒歩で北側に向かい、平安神宮、金戒光明寺、真如堂を参拝するルートのどちらかの例が多いかと思います。

このお寺の最大の楽しみはこの紅葉ですが、参拝の際にはその日の一番最初に、できれば8時頃には着いて静粛の中に佇む、逆光で輝く紅葉を見物したいものです。とにかく素晴らしい光景に出会えるので、この時間にわざわざ来てもそれ以上の価値があります。

紅葉の撮影は逆光に限ります。光が紅葉の葉を透けてオレンジ色や赤の光源があるかのようです。ちょうど紅葉の時期の朝8時頃には参道から紅葉を撮ると、良い具合に逆光で撮ることができます。三重塔をバックに逆光で光る紅葉が狙い目です。ちなみに順光で紅葉を撮ると葉で光が反射してきれいな赤が撮りづらいです。

真如堂 境内

金戒光明寺の境内を抜けて塔頭寺院のある舗装された曲がり道を進むと金戒光明寺の北門に出ます。ここもくぐってもう少し進むと右側に真如堂のアプローチが見えてきます。

真如堂のアプローチ

総門

長めに取られたアプローチを進むと「総門」があります。総門は1695年再建の朱塗りの門で、真如堂ホームページによると、近くの吉田神社の神々が夜にここにお参りに来る際につまずかないように門の敷居を無くしたとのことです。なかなかおもしろい伝承です。

敷居の無い門

総門をくぐって境内に入り最初の角の左右の奥には塔頭寺院が建ち並んでいます。拝観できるところは無いようですが、本堂の方に進む前にちょっと奥まで入ってみて雰囲気を感じ取ってみてはいかがでしょうか。ちょっと風情のある小径になっています。

参道途中に塔頭寺院が建ち並ぶ

三重塔

そのまままっすぐ進み幅広の緩やかな石段の参道では、トンネルのような紅葉が参拝者を出迎えています。

本堂がちらちらと見えてくるあたり、右手には三重塔があります。江戸時代後期の1817年建立となる、高さ約30メートルの三重塔です。同じく京都にある東寺の五重塔は55mほどあるのでおよそ半分ほどの高さです。撮影被写体として見るならば、三重塔の方が全体のバランスは良いと感じます。

五重塔も三重塔も仏教上の機能や役割は同じで、釈迦の遺骨である仏舎利を祀り、卒塔婆として心柱を建てます。五重塔や三重塔などの建物はいわば心柱を守るための覆い、カバーに過ぎないのです。また真言宗ではその心柱を大日如来に見立てるという事になりますので、京都市内に4つ現存する五重塔のうち3つは真言宗のお寺です。(東寺、仁和寺、醍醐寺が真言宗。法観寺 八坂の塔は聖徳太子創建、現在は臨済宗)

こちら真如堂の三重塔は内部の拝観はできませんが、他のお寺では五重塔の初層部分の拝観が可能となる特別拝観期間があるので、その機会になら確認する事は可能です。塔内部は3階もしくは5階にはなっておらず、内部空間全体が構造材で埋め尽くされていて、階高の高いいわば1階建てです。

本堂

本堂は江戸時代中期の1717年建立の重要文化財で、お祀りするご本尊は重要文化財の阿弥陀如来立像です。正面の階段前で靴を脱いで堂内に入り、外陣まで進むことができます。ご本尊は秘仏ですので直接のご対面はできませんが、写真が展示されているのでどのようなご尊像かは拝見できると思います。

須弥壇に向かって左手の受付で拝観料500円を納めて、奥から縁側に出て渡り廊下を伝って書院まで行くことができます。書院には二つの庭があり、一つは「涅槃の庭」という、釈迦入滅の際の涅槃図をイメージして石組みでその場面を表現している庭です。確かに組み合わされた石によって釈迦が横たわっているように見えます。庭の奥にははるか東山の遠景を借景に取り入れており、広がりも感じる庭です。

涅槃の庭。生垣の手前の石組みが釈迦が横たわっている状況をイメージ。

もう一つの庭は「随縁の庭」と名付けられた斬新なというより、ちょっとアバンギャルドに過ぎる感のある庭です。この真如堂のこの書院にこのデザインが必要なのかと思ってしまいます。この随縁の庭は、昭和の名作庭家として有名な重森三玲の血筋を引く人物の作だそうです。東福寺の市松模様の庭など、重森三玲の前衛感とはやはり違うと言わざるを得ないです。

随縁の庭。

書院を見学した後は、また本堂に戻ってきます。

鎌倉地蔵

悪霊退散の由来を持つ石の破片から掘り起こした地蔵尊で、当初は鎌倉の地に安置されていたところからこの名があるようです。三重塔の脇のこじんまりとしたお堂に安置されています。

鎌倉地蔵堂

やはりお寺めぐりで楽しいのは、本堂などのお堂内部に入ってそれぞれのお堂の機能や役割から生まれる意匠や雰囲気などを見たり感じたりできるところでしょうか。ひんやりと薄暗い堂内の数百年を経てきた建材が無言で語りかけてきます。

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