奈良散歩 〜元興寺

世界遺産 元興寺とならまち。

奈良のお寺に来ると、どのお寺に来てもホッとするのは偶然ではない気がします。どこか緊張感のある京都のお寺と違い、お堂の屋根の向こうには青い空が広がっていて、流れるような筋のある瓦屋根と大きな空の組み合わせがどこのお寺にもあります。ここ元興寺(がんごうじ)でもそう感じます。「ならまち」と言う古い街並みが周りに広がっており、その中心的な存在として静かに佇んでいます。

奈良時代、かつては多くの伽藍が揃った大寺院でありましたが、現在は割と小ぢんまりとした境内の他、ちょっと離れたところに飛び地のようにかつてのお堂や塔の跡地が点在します。元興寺の御由緒を見ると、この寺のこれまでの歴史はその当時の世の中同様に簡単な月日の流れではないなと感じます。創建は飛鳥時代、奈良明日香の飛鳥寺であり、平城京遷都に伴って移って来たという事です。それまでに幾度か寺名を変えて、現在に至ります。

国宝の本堂、極楽堂。流れるような筋が特徴的で大振りな瓦が使われる奈良の寺院特有の屋根。

では元興寺へ。

元興寺へは近鉄もしくはJRの奈良駅から徒歩で到着可能です。近鉄からは東向商店街経由で駅から南下してくれば15分ほどです。JR駅からはならまち大通りもしくは三条通り経由で20分ほどです。大通りから来る場合も、ならまちの中を通って来る場合も、ひょっとしたらちょっと迷ってしまうかも知れません。スマホでナビをしながら歩いてきても、周りが狭い路地が入り組んでおり、東向きの正面にちょうどたどり着ければ何ということもないのですが、東面以外に着くともう着いていると言っても良いくらいの場所にいてもこの壁の向こうにはどうやって行くのだろうというような迷路感があるエリアですのでご注意ください。

世界遺産 元興寺の重要文化財指定の東門。

三門である東門は国指定の重要文化財となっており、東大寺から移設されてきたものです。ここで拝観受付をして境内に入ります。御朱印もここでお願いしておきます。門の正面に極楽堂と呼ばれる国宝の本堂があり、上がってお参りすることができます。

建立は鎌倉時代、800年以上前の建築物に普通に入れるこの感覚は訪れてみないとわかりません。室内はやはり長い月日の流れを経過してきた、現代建築とは一線を画する雰囲気を感じることができます。規則正しく並ぶ柱やそれで区切られた、木材で仕上げられた天井などが独自の形状や雰囲気を持っており、思わず室内をぐるぐると見廻してしまいます。あえてこの現代にレプリカでこの室内を作ってみたら、また一種独特な空間になるのではと思いました。

境内はどんな感じ?

国宝の極楽堂の裏手に、極楽堂と同じような雰囲気を持つお堂がつながっているように配置されていますが、実はつながっていない別のお堂、禅室となります。こちらも国宝の建物で、かつては弘法大師空海もここで修行していた時期もあったようです。ですが現在こちらは拝観はできません。外部から見学する事となるため極楽堂を出たら、境内をグルっと廻りながら禅室の外側を一周することとなります。そうするとちょうど境内を一通り見て回る事ができます。一面砂利敷きの境内ですが、禅室の前には無数の供養石が並んでおり、一部苔むした地面と石の対比が鮮やかできれいです。ちょうどこの上には染井吉野が植わっており、3月下旬頃にきれいな花を咲かせて、古い鎌倉時代のお堂をバックに撮影にもってこいです。

さほど広い境内ではないので一通りの見学にそれほどの時間は要しません。ただ、見えるものだけを見て終わってしまうとちょっともったいないです。奈良時代から千年以上もの歴史をこの現代まで繋いだ重みをこの境内で感じたいところです。とは言ったものの、ここならまちは見どころや行きたい所の多い街です。次に元興寺のかつて五重塔のあった跡地に行ってみましょう。

元興寺 五重塔跡地。

元興寺境内から徒歩で数分。かつての元興寺の境内が広大だった証拠に、現在では飛び地のように存在する五重塔の跡地があり、塔の基石がその配置を物語るように佇んでいます。

奈良に来たならば、東大寺の後にならまちに来たならばぜひとも訪れて頂きたい元興寺です。

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