西国三十三所 第三十番 宝厳寺

御本尊の大弁才天を祀る本堂。

西国三十三所観世音菩薩巡礼 第三十番札所は厳金山竹生島 宝厳寺です。アクセス難易度は★★★★★です。西国札所中唯一、島にあるお寺です。それも日本最大の湖、琵琶湖に孤島のように浮かぶ竹生島(ちくぶしま)にあります。お寺は一般的に山号と寺号からなります。例えば、音羽山清水寺と言ったような感じですが、こちらは山号ではなく島号(?)なのでしょうか、宝厳寺のHPでも山号が記されておらず竹生島 宝厳寺の表記のみです。

琵琶湖は大雑把に言うと縦長の形状ですが、竹生島はこの北方に位置する島です。この島に渡るには彦根、長浜、今津の3箇所から観光船が出ているのでそれを利用することになります。琵琶湖汽船オーミマリンの2社が観光船を運行しています。1日の本数は4〜5便と限られていますので時刻表をご確認頂いたうえで参拝計画をお立てください。

彦根からオーミマリンを利用する場合で計画すると、彦根からの船便は9時30分が始発ですが今回はこれに乗るように行きます。折角なので彦根のあたりをぶらぶら歩きながら乗船場に行くとすると8時30分頃に彦根駅到着を見込みたいです。そうすると大阪駅を6時30分頃発の快速電車が目安です。彦根駅からバスで行く場合は、大阪駅は7時くらいで大丈夫かと思います。

彦根駅からは彦根城のお堀の周りを散歩しつつ歩いて、普通に行けば約30分ほどでオーミマリンの観光船乗り場に到着しますが途中護国神社の境内を見学したり彦根城の石垣、お堀や井伊直弼ゆかりの史跡を見ながらゆっくり約1時間で到着となります。(彦根城に寄って行く時間は無いのでお堀の石垣を眺める程度で今回は抑えたいと思います。)往きに結構いい距離を歩いたので帰りはバスに乗りたいと思います。

乗船場で往復の切符を購入します。3,000円です。9時30分に出発した船は割と高速に、青い巨大な水のかたまりを白い波と共に削り取って行くように滑らかに進み信仰の聖地を目指す40分の船旅が始まります。

途中、琵琶湖のあまりの広さに湖である事を忘れるほどです。遥か彼方に薄いブルーで霞んで見える地球用の屏風のような壁が、せめて行き止まりを意識させてくれるようです。

海のように広い琵琶湖を眺めていると、竹生島の港に到着するのもあっという間です。振り返って琵琶湖を見ると対岸が遥か先にあり、水平線のようです。

竹生島の港に到着。

港のまわり以外はほぼ垂直の崖になっている、嵩が高くこんもりとした印象の島です。電気は来ておらずこの島独自に発電しているとの事です。入島して数軒の土産物店を抜けて入島料(拝観料)を支払う窓口の列に並び、すぐ見える急な階段を登ると宝厳寺と都久夫須麻神社の建物がちらほらと見えるようになります。

最初の石段を登りきった所から振り返って見ると急勾配の階段が。

最初の石段を登りきったところにある鳥居には厳金山の扁額が付けられており都久夫須麻神社と一体の神仏習合の時代を偲ばせます。こちらも他の多くのお寺と同様に明治初期の神仏分離令以前は神社と一体となった信仰霊場を形作っていました。

ちょうどここに手水舎がありますので、心身を清めて行きたいと思います。ふと気が付くと精悍な顔つきの龍が、全てお見通しと言わんばかりに物静かに佇んでいます。

手水の龍に迎えられて、更にもう一段上へ。

更に石段を登って振り返ると空の色を写した琵琶湖の水面が、空と一体となっているように見えて、まるで竹生島が宙に浮いているかのような景色でした。ちょうど山上から港方向の眺望は琵琶湖の長手方向を見るため、対岸が見えないための絶景です。

札所本尊の千手千眼観世音菩薩がおられる観音堂(重要文化財)とその入り口の唐門(国宝)は修復作業中でした。こちらの唐門は秀吉大阪城の唯一の遺構という事で非常に貴重かつ有名な文化財です。秀吉大阪城のお堀に架った極楽橋と言う屋根付きの豪華な橋がありこの橋の唐門(唐破風という、中央がカーブを描いて上方に盛り上がって両サイドが髭のように反り返って左右に広がった形状の屋根を持つ門)が秀吉死去後に京都東山の豊国廟に移され、その後ここ宝厳寺に移築されたものです。

大々的に修復作業中の唐門。

上記でいちいち秀吉大阪城と区別した言い方をしているのは、豊臣時代の大阪城は大阪 夏の陣で燃えてしまったためその後に同じ場所に築かれた徳川大阪城と区別する意味でこの表記となっています。ちなみにこの徳川大阪城が築かれる際には世間に豊臣時代が終わって徳川の世だと言う事を知らしめるべく、お堀まで全て埋めて全くの別物として作ると言う徹底ぶりです。よって、現在見ることのできる、あの圧倒的な規模の石垣を持つ大阪城お堀は徳川大阪城のものです。

素晴らしく色鮮やかに修復された唐門天井部分。

この琵琶湖に浮かぶ竹生島に建つお寺にしてはあまりにも重厚すぎる彫刻を持つ唐門。修復作業が終わって極彩色の紋様が全て蘇ったらもう一度ぜひ見てみたいです。

「国宝 舟廊下」の文字と「重文 舟廊下」の文字が、、、。いったいどっちが正解?

宝厳寺と都久夫須麻神社を結ぶ渡り廊下は重要文化財指定の舟廊下ですが、かつては国宝だったのでしょうか。廊下天井にかかった看板には国宝という文字で案内されています。ただ、そのすぐ下には重文と記載された案内板があります。

三重の塔は、350年ぶりに平成12年に再建されました。内部公開はしていませんので外観の見学のみとなります。こちらは三重の塔ですが五重の塔も同様ですがこれらの塔の構造では心柱がある事により地震に強いと言われ、これは心柱が他の部材に接続されておらず制震の役割りを考えて作られたと言われています。しかし当初の建設当時はそのような考えを持たず、単に心柱が仏舎利を収めるべく主役であるため屋根や壁等を打ち付けず、建物はただの飾り、防御設備という考えで造られています。そう思うと塔の見方も変わるから面白いです。

御本尊、大弁才天の納め札。
良く見ないと何だかわからない物体、、、。
隣接する都久夫須麻神社。
海のように広い琵琶湖。

一通り参拝したら帰りの船に間に合うように山を降ります。乗ってきた船の滞在時間は70分ですので出航は11時20分です。12時には港に着くのでバスに乗って彦根駅へ向かい、軽く昼食を取ってJRで4駅戻った能登川駅から第三十二番札所の観音正寺に行きたいと思います。行程上、第三十一番札所の長命寺は後日参拝する事とします。

参拝を終えて帰路に。

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