関西逍遥 西国三十三所 《穴太寺》

穴太寺本堂。緑茂る時季に訪れるとまた違った雰囲気でしょう。

西国三十三所観世音菩薩巡礼第二十一番札所は菩提山穴太寺です。アクセス難易度は★★です。所在地は京都府亀岡市で、JR嵯峨野線にて京都駅より30分ほどの亀岡駅で下車、徒歩もしくはバスとなります。バスを利用する場合は京阪京都交通バス34系統、59系統に20分ほど乗車し、穴太寺前バス停下車すぐです。バスの本数が少ないので時刻表をご確認頂いた上でお出かけ頂きたいと思います。気候の良い時季には1時間ほどの徒歩で、懐かしい風景が広がる田園地帯をゆっくり行くのもお勧めです。道は平坦で坂道は無いですが、細く幾度も曲がった道や田んぼの中を行くのでスマートフォンの地図を見ながら歩くなどしないとちょっと迷うかもしれませんので御注意を。

徒歩で亀岡駅から歩いてくると境内側面に当たります。グルっと廻って正面へ。

田園地帯を歩いてくると段々と民家が密集してきて、かなり昔からの集落のような雰囲気になり、なんとなく穴太寺はもうすぐかなと感じられて来ます。道に小さめの案内看板が出てきますのでそれに従ってグルっと廻って正面の三門へ廻ります。三門の手前の、お寺の壁を突き破るように生える巨木が歴史の深さを無言で語っているようでした。

三門の横の壁を突き破るように植わる大木。

かつてこのお寺は応仁の乱や戦国時代の混乱の兵火により本堂などが何度も焼失しているにもかかわらず、その都度再建されてきたのは、このお寺を信仰する人達の気持ちの強さの表れであると感じます。

山門は江戸中期建立の仁王門。
網越しに見る金剛力士像はなんとなく可愛らしい表情。

本堂内陣には三つのお厨子が並び、中央のお厨子は穴太寺御本尊の薬師如来像が、向かって一番左のお厨子には西国札所本尊の聖観世音菩薩立像が安置されています。共に秘仏であり通常は拝見する事はできませんが、向かって一番右のお厨子に札所本尊御前立像の聖観世音菩薩立像がおられ、いつでもお参りすることができます。

本堂正面の外陣を見上げて、三つの懸仏が並ぶ。

そのご本尊の聖観世音菩薩像ですが、左脇に傷があります。御前立像を見ても良くは見えないのですがこの傷は、創建当初頃に薬師如来が御本尊であるこのお寺に聖観世音菩薩がお祀りされる際の伝承と関わりがあります。宇治宮成(うじのみやなり)というこの地域の郡司であった男は日頃仏心の無かった人物で気性も荒く、奥方が困っていました。そこで観世音様のような慈悲深い心を持ってもらいたいと、都から感世(かんぜ)という仏師を呼び寄せて聖観世音菩薩立像を彫っていただくこととなり、しばらくして立派な像が完成しました。宮成もこれには深く感銘を受けて感世に感謝しつつ観世音様に信仰を寄せるようになりました。この際に宮成は感世にお礼として自分のお気に入りの馬と褒美の品一式を授与したのですが、あげた途端に馬が惜しくなり、帰路を先回りして感世を矢で撃って馬を取り返しました。ところが家に帰ってみると自分で撃った矢が観世音様に刺さっており大変な事をしてしまったと気づくのでした。改心した感世は傷ついた観世音菩薩様を薬師如来のもとにお祀りしたという話です。

穴太寺の寺号が入る常香炉。
本堂の外陣より内陣の様子を伺う。
本堂外陣の格天井には多様な文様が。
多宝塔。

本堂内陣の右手の奥まった所に、布団をかけられて横たわっている釈迦涅槃像がおられます。自分の病気の部分を撫でると病気が治るというご利益が頂けるありがたい仏様です。ぜひお参りしてご利益を頂戴したいものです。

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