
常寂光寺へ
小倉山 常寂光寺。読み方は、じょうじゃっこうじです。小倉山あたりは平安貴族の別荘地として開けた土地であり、その雰囲気は現代でもちょっとした奥座敷感を漂わせています。小倉と言って現在でも連想させるものがいくつかありますが、まず「小倉百人一首」の小倉はこの山の事です。小倉百人一首の歌の選者として有名な藤原定家もこの山中の別荘で歌を読んだりしていたようです。あと、もうちょっと奥に行った二尊院というお寺が発祥である「小倉あん」もここの小倉です。常寂光寺は1600年前後の創建と、京都のお寺としては比較的新しい日蓮宗の寺院です。

こちら常寂光寺へ行くならお勧めは青もみじの季節です。山門を抜けた次に見える仁王門付近、門を隠さない程度に左右から舞台装飾のようにかかるもみじと門と石垣、石段がこれ以上ない構図を用意して待っていてくれます。目に入る色は緑のみ。数ある京都のお寺の中でもこちらほどの青もみじは他に無いでしょう。

仁王門を抜けると長い石段があります。この石段付近も開放的で、左右には苔に覆われた斜面が一面に広がっていて微妙な緑のコントラストを作り出していて印象的です。石段を半分くらい登って振り返って仁王門を見るのも、緑の雲海を見るような心地よさです。

本堂のある位置まで登ると鐘楼があります。鐘楼(鐘を吊るす建物)は江戸初期のものですが、梵鐘(カネ)は戦時中の金属供出で失ったため昭和に作り直されたものです。

更に小倉山の斜面を登ると、江戸時代初期の作の多宝塔があります。一層目の屋根が四角形でその上部は円形、その上の二層目の屋根はまた四角形と言う独特の形状が多宝塔の特徴です。屋根と屋根の中間の胴体とも言える部分のぎゅっと細く絞られた円形形状と、反り返った羽根のように広がる屋根の組み合わせで、非常に均整の取れたプロポーションの良い建物となっています。

境内は、広くないと言うよりは割とこじんまりとしたという表現のほうが合います。どこに佇んでも心落ち着く景色と出会えます。帰りは登ってきた石段とは別のちょっとラフな積み方の石段のルートから降りてきました。鐘楼の奥の方から降りるとわかりやすいです。

最後に三門で一礼して常寂光寺を後にしました。