
東山界隈と言うと、京都観光で最もはずせないエリアであると言えるでしょう。「今回は嵐山には行かないけど、、」と言ったプランはあっても東山界隈に行かないと言うプランはまず無いと言えるくらいです。



それは、京都の観光エリアの中でも特に京都らしさを感じさせてくれる要素を持っているため、季節ごとにここに来たくなるという行動スイッチを、タイマーが働いているかのごとく人々に作動させる力を持っていると言った感じでしょうか。それほどまでの集客力があるこのエリア東山界隈ですが、清水寺に絡めて書いた「京都散歩〜清水寺」をご参照頂くとわかりやすいです。



単に東山と言うと前述の人気観光地エリアを指す場合が多いですが、本来は東山連峰もしくは東山三十六峰と言って北は比叡山から南は伏見稲荷あたりまでの連峰が東山です。ひとつの東山と言う山があるわけではなく、現在では無理くり三十六の峰に名前を当てはめていますが、元々は江戸時代に中国の嵩山三十六峰に習って付けられた、京都盆地東端にある山地を言います。

東山界隈の観光の中心は、清水寺を頂点に下って産寧坂、二年坂、一念坂、ねねの道、石塀小路あたりでしょうか。このあたりですが古い建物が数多くあるかというと、そうでもなく産寧坂下に江戸時代の建物が数軒ありますが、ほかは明治以降の建築がほとんどです。京都で最初に「特別保全修景地区」に指定されたのがこのエリアになります。これは京都市市街地景観条例にて定められた京都市独自の制度で、伝統的建築はその維持が、現代風の仕様となっているものには補助金も出しつつ伝統的な手法で修正すると言う内容です。京都っていいなあ、と観光客が喜ぶ陰には、こう言った行政やそこに暮らす人々の努力があると知っておいても損は有りません。

では清水寺から清水坂を下って行きましょう。この清水坂は両サイドがお土産店舗でぎっしり埋まっていて、気候のいい季節の休日などはまっすぐ歩くことができないほどの賑わいです。通りとしての名前は「松原通り」で、清水道などともいったりしますが、このまま下って東大路通りを超えて鴨川も超えて碁盤の目の1本に組み込まれています。あまり知られていないかもしれませんが、かつてはこの松原通りが五条通りだったのです。秀吉が現在の五条通りの位置に新しく五条橋を架けたことからそちらが五条通りとなり、こちらは松並木があったことから松原通りとなったようです。
清水坂を下ってきて有名な唐辛子屋「七味家本舗」の角を右に曲がると産寧坂(さんねいざか)になります。三年坂とも呼ばれていますが、最近ではガイドサイトなどにおいても正式な産寧坂の表記のほうを多く見受けます。名前の由来は清水寺の子安塔信仰からとか、秀吉正室ねねの安産祈願とか由緒は色々あって不明ですが、清水寺からもねねの道からもちょっと離れた位置ですので、少し突然すぎる理由だとは思います。

ここで転んだ人は3年以内に死ぬなどという、ちょっと怖い話から三年坂と付いたという説もあるようです。なるほど京都らしいちょっと時代を感じさせる話ではあります。

ここも清水坂同様に土産店と食事処で両サイドはびっしりです。風情ある昔からの和小物の店に混じって最近では商業主義が過ぎた店舗も目立ってきており、多少興醒め感があるのは否めないです。

石段が終わって平坦な道になった頃、ちょっと休憩したいなという所にちょうどありました。京都の老舗喫茶店の雄、「イノダコーヒ」です。こちらモダンな意匠の中にもどことなく京を感じさせる雰囲気が素晴らしいです。割と広めな店内でゆっくりとした時間を過ごすことができます。

産寧坂は次第に左にカーブしていき、湯豆腐で有名な「奥丹」が左手に見えたらまた先程と同じように右に折れます。曲がらずにまっすぐ行くと八坂通りで、八坂の塔が見えてくるのでついそのまま行ってしまいがちですが、二年坂に行くなら右折します。まあちょっとそのまま八坂の塔のある法観寺まで行ってきて、また戻って来るのも有りかと。

産寧坂の次だから二年坂。ちょっと単純すぎるようですが、ここもまた同じように土産店と食事処でぎっしりです。



先程産寧坂でイノダコーヒに寄りましたが、今度はまた別の意味で面白そうな場所がありました。「スターバックス茶屋」です。外観はご覧の通り和風建築ですが店内は和モダンインテリアの意匠です。






二年坂までで一年坂は無いのかと思っていたら、有りました。一念坂と書くようです。ここはもう高台寺やねねの道への接続道のようで、特に土産店などは無いようです。

一念坂を出ると急に景色が開けて、広くなった道で数台のタクシーや人力車が客待ちをしています。右手の高台に高台寺が、その下にねねの道が通っています。

ねねの道を歩いてすぐ左手に曲がる小道がありますが、ここが石塀小路ですので曲がってみましょう。冒頭の写真が石塀小路を入ってすぐの板塀が続くエリアです。微妙な角度で曲がる道が、見る角度によっては奥まで見渡せて不思議な道の感じを醸し出しています。

奥の方は道の部分を掘削して脇を石塀で覆った、本来の石塀小路が現れます。掘削している分建物敷地に入る時には7−8段の階段を登ることになります。

石塀小路の路地を曲がり圓徳院の裏手に着きました。ここから圓徳院の脇を通って秘密の路地のように狭い「あられこぼし、ねねの小径」を通って、ねねの道に戻ります。ここは小さな和小物のお店や狭め喫茶店などが数店ある非常に小粋な小径です。



ねねの道ももう終わりですが、昼食に是非お勧めしたいお店があります。ねねの道が右に曲がりますが、曲がったらそのまま真っ直ぐ数分で着く、「サロン ド 無碍」です。こちら高級料亭の筆頭として有名な菊乃井のカジュアル版店舗という感じの位置づけですが、ランチのお重弁当「時雨弁当」は菊乃井で出る質と内容そのままです。お出かけの際は予約は必須です。時雨弁当、5000円(税込み)。

ランチの後はゆっくり円山公園でも散策して午後のプランの確認などもしたいところです。
