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鎌倉散歩 〜瑞泉寺

瑞泉寺本堂

鎌倉 二階堂、錦屏山 瑞泉寺。

鎌倉の、その鎌倉たる範囲は結構狭くて、どこへでもアクセスが容易でその気になれば鎌倉中を歩いて廻れます。ここ瑞泉寺のある二階堂エリアはその中においては比較的遠方エリアとなるでしょうか。鎌倉駅から歩いてなら40〜45分ほどはかかります。鎌倉宮までバスに乗ってきてあとは歩きと言うのが良いと思います。二階堂と言う地名の由来ですが、鎌倉時代に源頼朝がこの地に永福寺(ようふくじ)と言う、残念ながら現在は存在しない大寺院を建立しており、こちらがニ階建てのお堂を有していたというところからきています。永福寺は奥州藤原氏討伐の際に目にした、岩手県平泉の中尊寺そばにあった無量光院がモデルとなっているようです。

参道途中の分かれ道。現在は右の新しい石段が門まで通じている。

錦屏山 瑞泉寺。

錦屏山瑞泉寺は、この緑深い山中の寺が秋の頃には錦の屏風のような紅葉に包まれることから付いた山号です。紅葉の時期には行ったことがないので、一度その時期に確かめに行ってみたいです。参道の周りには草木の緑が色濃く生い茂り、苔むした鎌倉石の石段は長い年月のあいだに多くの参拝者や修行僧によって幾度となく踏みしめられて、すり減った歪み具合がなんともいえない侘び寂びを醸し出しています。

旧参道。立入禁止にはなっていないが、門に行くには新道を行く。

新しく作られた方の参道石段は艷やかな石を配しており、周りに茂ったシダの葉と共に露に濡れた光沢が印象的です。鎌倉はこういった小ぢんまりとした山寺風の緑豊かで落ち着く雰囲気のお寺が多く、谷戸の奥にひっそりと静かに佇む感じが共通のイメージでしょうか。

臨済宗 円覚寺派。

瑞泉寺は臨済宗円覚寺派の禅寺です。この臨済宗というのは、仏教の宗派の一つで禅の教えに従って修行する禅宗の一つです。比叡山延暦寺で修行した栄西(ようさい)が宗祖であり、円覚寺派というのはこちら瑞泉寺が円覚寺を本山とする派に属するという意味です。他にも京都祇園の建仁寺を本山とする建仁寺派、同じく京都花園の妙心寺を本山とする妙心寺派、鎌倉だと建長寺を本山とする建長寺派などがあります。浄土宗の総本山の知恩院のように総本山はありません。

瑞泉寺境内へ。

先程紹介した侘び寂び感漂う石段を登りつめると、木々に覆われて少し薄暗い三門が現れます。高い格式の寺院の証である5本線の入った壁のちょうど参道の正面に割と狭めの開口があり、ほぼ正方形に切り取られた向こうの明るい景色が参拝客を誘(いざな)っています。この三門をくぐると、整然と整理された配置で植栽やお堂が並んでいます。何故かキッチリと角から角まで歩いてみてしまいます。日本伝統家屋と、くねった樹木の配置は被写体としてグッと迫るものがあります。

名勝 瑞泉寺庭園。

瑞泉寺の本堂前の庭は緑豊かで雰囲気のいい境内ですが、ここ瑞泉寺最大の見所は本堂裏手の庭にあります。鎌倉石の崖に掘られたやぐらと、その全面に広がる無機質な石だけのあまりにも寂しげな庭であり、一見するとただの荒れた庭、遺跡の発掘現場かと言った感じです。しかしここがこの寺の開山である夢窓疎石(夢窓国師とも。鎌倉時代後期)という高僧が作庭した禅の精神を表す庭であり、以前は花咲くきれいな庭だったものをあえて調査結果に従って国師が創作したこの状態としたとの事です。この人の名前は京都嵐山の天龍寺でも聞くことができます。あまりにも有名な国の特別名勝(景色の国宝とでも言いましょうか)曹源池庭園の作者です。しかしながら、華やかで嵐山の借景も活かした素晴らしい華美とも言える曹源池庭園とはあまりにも違いすぎるここ瑞泉寺の庭園です。

ここ瑞泉寺にいらしたら、この夢窓疎石の庭園で、この荒々しい庭の創作意図を想像してみるのもいいかもしれません。これが疎石の意図する禅の修行かもしれません。