
迷いの窓、悟りの窓
四角い窓と丸い窓が並んだこの景色はこのお寺の代名詞ともなっているほど広く知れ渡った存在です。丸い窓が「悟りの窓」、四角い窓が「迷いの窓」です。迷いの窓の四つの角は人生においての4つの苦悩を表しており、それらが無い状態の丸が「悟り」の状態であり禅の心を表わしています。
源光庵とは
源光庵は正式には鷹峯山寳樹林源光庵といい、この規模のお寺にして庵(いおり)を名乗るのはちょっと謙遜の感があります。1346年に大徳寺の第2代住職であった徹翁国師が開山として開いた臨済宗のお寺でしたが、1694年に曹洞宗の中興の祖と言われる卍山禅師(まんざんぜんし)が住持に入られたことから曹洞宗としての歴史が始まりました。現在では卍山禅師を開山として仰いでいます。京都には数多くのお寺がありますが、曹洞宗のお寺は少ないように感じます。
本堂は卍山禅師が来られた時に同じくして建立されたものが現存しています。

源光庵へ
こちら源光庵があるのは鷹峯(たかがみね)と言うエリアで、ぎりぎりのところで洛中の外側となっています。この一帯は本阿弥光悦が晩年に住んで芸術村を形成していたエリアです。源光庵の少し先に光悦寺もあるので、併せての参拝がおすすめです。
一般的に洛中というと秀吉が京都市中をぐるっと一周土塁で囲った「御土居」(おどい)の内側を指しますが、源光庵のちょっと南側には御土居の一部が現存しているところがありその存在を今でも確認することができます。ただ、こんなところまで洛中なのかとも思ってしまいますが。

最寄駅は無くバス利用となります。京都駅を始発とし途中四条大宮、二条駅を経由する6番系統、もしくは京都市営地下鉄烏丸線の北大路駅を始発とする北1系統に乗車して「鷹峯源光庵前」で下車すぐです。
ちなみに京都駅からの乗車時間はおよそ1時間ほどかかるため、烏丸線で北大路駅まで来てからバスに乗車する事をお勧めします。バスに乗ってここまで来ると、京都駅からの標高差は京都タワーと同じほどあると言います。

山門
通りに面したアプローチがひっそりとした佇まいなので、うっかり通り過ぎてしまいそうです。数段の石段をあがると石畳の風情ある参道が20mほど続き、その先にこの寺の開山である卍山禅師(まんざんぜんし)の三百回忌として2015年に再建された薬医門があります。この寺にそぐわしく小さな質素な門です。そして参道はここから途中2回ほど直角に折れて、ユーモラスなデザインの山門に出ます。


ちょっと一目に人の顔に見えるような特徴的な意匠です。「目」の白い窓は内側はどうなっているのか非常に興味があります。山門の建つ地面には赤い土が敷かれており、他ではあまり見ないしつらえです。屋根には小さな鯱鉾が乗りおかっぱ頭の髪が跳ねているようです。

源光庵の境内へ
山門を超えると一気に景色が変わります。石畳の参道は青々とした芝生で区切られていて明快な印象です。右斜め方向に拝観受付があると、小さな案内看板が示しているのでそれに沿って進むと割と新しめのお堂があり拝観受付も兼ねています。ここで御朱印のお願いもしておき、お堂に入ります。

本堂
お堂に上がってそのまままっすぐ進むといくつか部屋があって寺宝などが展示されています。左手に曲がると本堂となり、中央の須弥壇の右手に迷いの窓、悟りの窓があります。


迷いの窓、悟りの窓の手前は柵を設けて入れないようになっています。このお陰で前方に人が入り込まないためきれいな写真を撮ることができます。ここ源光庵ではお堂内部の撮影も許されているためこの窓の景色も撮影を楽しめると言うわけです。それでもこのお堂で写真を綺麗に撮るには観光客の少ない午前中の早めの時間に来ることをおすすめします。


いつもここ源光庵に来るたびにホッとした気持ちになるのはなぜでしょうか。実際にはこのようなところに住んでいたことはないのですが、懐かしい気分になります。

血天井
本堂内の天井は「血天井」として知られています。1600年10月関ヶ原の戦の直前、徳川方の忠臣鳥居元忠が同年の夏に挙兵した石田三成の軍勢によって攻められ、伏見城に籠城し善戦するも13日間の激闘の末に城内で多くの家臣が自決し敗北。その際に流れた血によって付いた手形や足形のある床板を供養のために天井に上げたものが血天井です。

京都には血天井のある寺としてここ源光庵のほかに、七条の養源院、西加茂の正伝寺、大原の宝泉院などがあります。ここまで多くの寺で供養のために伏見城の床板を寺の天井に上げるというのも、城の広い範囲で多くの家臣の血が流れ、これらの床板を処分などできずに徳川の意向に沿って寺に預けられたのだろうと推測できます。実際、血の畳は江戸城の天井に上げられ、維新後に実際に存在が確認されています。

ここ源光庵は有名なお寺さんですが、こぢんまりとしたお寺ですので全てを見学するのに多くの時間はかからないため近くの光悦寺や常照寺と合わせての参拝がおすすめとなります。
鷹峯
せっかくちょっと足を伸ばして鷹峯まで来たのですから、このエリアを満喫したいものです。近くにはお土居が残っています。柵が設けられており、入って登ったりはできませんが、見学は可能です。










もう少し南に下がると、1805年創業の老舗京醤油の店、松野醤油があります。今でも手作りにこだわった作りで、前を通ると醤油のいい匂いがします。
鷹峯、しょっちゅう行けるエリアではないのでじっくりと計画して効率的に行きたいものです。
